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2012年3月22日、ドレスドアンドレスドコピー(DRESSEDUNDRESSED)が、同ブランド初となるランウェイショーで2012年秋冬コレクションの発表を行った。テーマは「HOMUNCULUS(人造人間)」。「私達人間は動く影。私達人間は日々、もう一人の自分を作り出している」というパンフレットに書かれた言葉と、会場に響くピアノの音、ランウェイのバックに設置された大きなスクリーコピーンがこれから始まるミステリアスな世界へと私たちを誘った。
鼓動のような重低音が響き始め、ランウェイにモデルが現れる。白のワイシャツに黒のパンツというごくシンプルなスタイリングを特異なものにしているのは、シャツの上から身につけた拘束具のようなヒモだ。「日常生活で多々あるしがらみやタブー、自分自身の殻、それらを破りたい」(デザイナー・北澤)という気持ちからアイテムの着想を得た。もう一つ特徴的なアイテムはゴムコピー手袋のようなグローブ。「ガタカ」や「アメリカンサイコ」といった映画を見て感じた、二面性を持つ人間の潔癖性的な部分や繊細な部分を表現したかった、とショー後デザイナーの北澤は語った。
その後もカラーコピーパレットを白と黒の二色に絞り、ベルトや金具を使用した構築的でハードなアイテムが並んだ。一方、「自分が着たいものを作りたい」(北澤)と、素材はカシミアなどを使用し柔らかく仕上げた。ショーの最後にはスクリーコピーンでショートフィルムを上映。革の椅子に腰掛ける男性が、もう一人の自分と出会うところで映像は終わる。「僕たちのコレクションは難しいテーマを掲げることが多いので、ランウェイの答えをムービーで表現したかった」のだという。
公私共にパートナーであるデザイナーの佐藤や友達はもう一人の自分であり、「すごく大切な存在」だと語る北澤。柔らかさや繊細さを含んだハードなアイテムは、彼らだからこそ作り上げられるもの。それぞれの服に込められた想いを深く感じさせるコレクションだった。