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アメリカのカリフォルニアで生まれ、バックパックブランドとしての不動の地位を保っている「グレゴリーコピー(Gregory)」。30年以上にわたり、最高の背負い心地と品質、機能性を追求した製品を作り続け、日本のアウトドア好きにもファンが多い。今回、東京・原宿にあるフラッグシップショップ「GREGORY Tokyo Store」の5周年を記念し、その創業者であるウェイン・グレゴリーコピー(Weyne Gregory)が来日。レセプションパーティーにて、彼のバックグラウンドやビジネス観について話を聞いた。
今回歴代のバックパックが並んでいますが、特に印象深いアイテムを1つ選ぶとすれば、どれでしょうか。
ベストセラーのラインという意味では、「デイパック」と「デイアンドハーフパック」ですね。1977年に会社を立ち上げて最初の製品です。私が自分で全て手がけたんですよ。デザインから、型紙作り、生地の裁断まで全てね。そして最初の50個は、自分の手で直接お客様に売りました。良く覚えていますよ、紫のバックパックでした。
デザイン性と機能性、一見すると両立させるのは難しそうですが、グレゴリーコピーの製品はその両方を見事に兼ね備えていますよね。何がそれを可能にしたんでしょうか。
お客様の声を聴くことですね。それが1番大切だと私は思っています。ブランドを立ち上げた当初は、とにかくお客様の意見を取り入れて製品開発をしていました。「こういうバッグが欲しい」「こんな機能があったら良いのに」そういう声に1つ1つ応えていったんです。あとは、製品に保証を付けていたことでしょうか。1977年、私はお客様の購入したバッグに8年間の保証を付けていました。
8年間!かなり長い期間だと思いますが。
ええ、そうですね。でもそうしていたんです。8年の間は、もしバッグがこわれたりチャックがとれてしまったりしたら全額返金する、そういう風にお客様に約束していました。しかし1人も壊れたバッグを持ってきた人はいませんでしたよ。1人もね。それだけ丈夫なんです。当時の本当に初期の製品で、サンディエゴのロゴが入ったものがあるんですが、それなんかは今では大変貴重ですよ。3年程前にそのうちの1つがインターネットオークション「e-bay」に出品されていましたが、それも最終的には1,660ドルの値をつけて落札されました。
「デイアンドハーフ」の歴代のモデル。一番左は初期のもの。
日本のマーケットや日本人の顧客についてどのような印象をお持ちですか。
アメリカ人は、もちろん私の製品を愛してくれています。その製品の機能性や質自体を高く評価してくれているんです。日本人はそういう観点で言えば、アメリカ人とは少し異なりますね。彼らはその製品にまつわるストーリーコピーやノスタルジア、そういうものを非常に大事にしていると感じます。アメリカ人は常に、最先端のものを評価し、欲しがる傾向がある。それに対して日本人は、ストーリーコピー性とか、職人技、伝統、そういうものを重視する。それが僕がもつ日本人の印象ですね。ブランドを始めてから36年たった今でも、日本では最初のライン、「デイパック」と「デイアンドハーフパック」が飛ぶように売れ続けている。何十年もの間、同じ製品が愛され続けているのは、本当に驚くべきことです。
そうそう、おもしろいことに日本人は「Made in USA」の製品を好みますよね。でも私はむしろ「Made in Japan」の製品が大好きなんですよ。日本製の製品はいつだって質が良く、デザイン性にも非常に優れていますからね。とりわけ私ぐらいの世代にとっては、「Made in Japan」は世界一ですよ。例えば、「snow peak」という日本アウトドア用品のブランドをご存知ですか。もちろんここの全ての製品が日本で作られている訳ではありませんが、その質の高さから、アメリカでは非常に評価の高いブランドなんですよ。それにね、私は若い頃は日産やトヨタの車の大ファンでした。アメリカ製の車は買いませんでしたよ、当時はお世辞にも質が良いとは言えませんでしたからね。