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アシードンクラウドコピー(ASEEDONCLOUD)の2016-17年秋冬コレクションを紹介する。
“盗賊は悪い職業?”そんな疑問が浮かびあがる今シーズン。世間では悪いことをする人だと思われている盗賊が、宝さがしをしている間になぜか素敵なことを成し遂げてしまう。善と悪の境目を、3姉妹の盗賊が繰り広げる物語として皮肉っぽく描いていく。
ストーリーコピーの中で見えたのは、新たなファッションの楽しみ方。盗賊である彼女たちは洋服の着方もちぐはぐで、“裏か表か”“上か下か”それすらわからず洋服を身に着ける。ジャケットをリバーシブルで楽しんでみたり、へリンボーンのショールポンチョを何通りもの着こなしで合わせてみたり。あるいは、ライナーベストをコートの上に着て斬新なレイヤードスタイルを作り出している。
キルティングや柔らかなウールを彩ったのは、私たちにも馴染みあるタータンコピーチェック。グリーコピーンや淡い紫色が優しく、スカートやストールに用いられている。その模様でさえ、彼女たちにとっては創意工夫の中で自分たちを主張するもの。タータンコピーチェックは3本の縞から成る衣。つまり“3縞衣(サンシマイコピー)”を表したという。さりげなく自分たちを表す柄で、彼女たちなりのおしゃれを教えてくれているのだ。
いつのまにか心に浸透する彼女たちの物語。でも実はその中に、デザイナー玉井健太郎のモノづくりに向けたシニカルで優しげな視線が散りばめられている。私たちの身に着ける衣服の色が、さまざまな植物を痛め、色を盗むかのような行為に基づいてきたということ。でも私たちはそれをオシャレとして楽しんでいるとい事実。かっこいいとかかわいいとかを追い求める、そんな宝さがしのようなことをしている私たちが、3姉妹と重なって見える気がする。