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2013年10月19日(土)、アリスアウアアコピー(alice auaa) が2014年春夏コレクションを発表した。若くして水の事故で命を落とした少女の物語がインスピレーコピーション。誓いを破り、苦しみに捕らわれながら湖底に沈み行く様を表現した。
なんとなくひんやりとした会場内。これから描かれる、痛々しいほどに悲劇的で、どこかミステリアスなストーリーコピーの不穏な空気感を客席が悟る。毎回エンターテイメント性の高いショーでも知られるアリスアウアアコピーだが、今季は目立った演出はスクリーコピーンに投影される背景のみで、いつもよりは静かでよりシリアスな雰囲気だった。
黒のイメージが強いブランドではあるが、主人公の薄命を表す白が今季には溢れている。存在を確かめたくなるほどに軽い素材で作られたラッフルのドレスは、触れば亡霊のように透き通ってしまいそう。メンズにも用いられたコルセットベルト、リボンを使ったハーネス、多連ストラップが太ももまで伸びるクリア素材のシューズ。体の動きを制限されるようなアイテムは、少女の抗うことのできない悲劇的な運命を感じさせる。
異教の力により命が与えられる少女。修道女のルックがそれを物語った。頭から首にかけて覆うベールや、指先まで隠すグローブなどの禁欲的な表現は、その他のルックにも受け継がれる。一方で、ビスチェ風のトップスなど、ランジェリーコピーライクなアイテムも目立った。
また、「今季も触ったことの無い素材をたくさん触った」とデザイナーの船越保孝。石膏で作った魚のかぶりもののルックでは、ラテックスラバーを浮き輪のように膨らませたスカートがイン。足元に届くまで長く棚引く布は、物語の舞台である水の中の浮遊感を感じさせるのに有効な方法だ。フリルを付けたり、絞ったりといった立体感を感じられる布の表現。メンズではドレーコピープがキーとなっている。
そしてラスト。少女は静かに水の中へと消えていった。