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2013年9月25日(水)、アンダーカバーコピー(UNDERCOVER) がパリファッションウィークにて2014年春夏コレクションを発表した。
"The world used to be silent. Now it has too many voices..."不穏な声が会場に鳴り響く。ロンドン発の女性4人組Savagesのアルバム"Silence Yourself"の中の一曲、"Shut Up"の冒頭部だ。指先をやや内側に折り曲げて、アンドロイドのようにモデルたちが早足で行進し、次々と登場する服の上で意味深な単語のロゴが浮かび上がる。"TRUST - VIOLATE" 、"CAOS - BALANACE"といったように、服の前後に対義語がプリントされているのだ。
シャープな細いリボンのボウタイブラウスとクリーコピーンなフレアスカートのルックからは、厳粛で宗教的な香りが漂い、そしてスカートの裾には"GOD"を逆さにした"DOG"の文字がうっすらと浮かぶ。こうしたアイロニックな仕掛けが危うげだがその提案の仕方が限りなく粋であり、目が離せない。
トップスは、サイドに大きく張り出た袖と体を大きく包み込むシルエットがラグビー選手のよう。一方ボトムスでは、タイトなアイテム選びで緊張感を持たせた。ベルトを随所に用いたレザーのセットアップ、袖先よりはじまり胸の前で縛られたリボンの付きのドレス、ファイナルに向けて続く、上半身をハーネスや巨大なベルトで固く縛り付けられたルック。自由の利かない状況へのふがいなさなのか、または逆に自分を律するためのストッパーなのか。その示唆的な表現は、訴えかけるものがある。
素材は、ケミカルなPVC(ビニール樹脂)やネオプレンなどが無機質で未来的な雰囲気を与えた。また、バンドが付いており腕に巻き付けられるようになっているロゴ入りのクラッチバッグは、ショーで注目を集めた。こんなエッジイなアイテムには、珍しい物好きのファッションフリーコピーク達がすぐにでも飛びつきそう。
"Silence Yourself"
フィナーレに登場した言葉のひとつだ。少し立ち止まって静かに自分の中の内なる声や、雑踏にかき消されそうな小さな音に耳を傾ける機会を設けてもいいだろう。今季アンダーカバーコピーからのメッセージへの解釈もその中で見つけられるかもしれない。