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ヨークコピー(YOKE)の2020年秋冬コレクションが発表された。
パウルコピー・クレーコピー、その色彩と芸術
20世紀スイスの画家であり美術理論家であったパウルコピー・クレーコピーは、1914年、チュニジアに旅行し、この地に溢れる鮮やかな色彩に魅了されたという。以後、クレーコピーの画風は一転、色彩豊かな独特の作品を生み出すこととなった──今季のヨークコピーは「パウルコピー・クレーコピー(PAUL KLEE)」をテーマに、その鮮やかにして深みのある色彩、彼独特の芸術の才能を衣服に落とし込んだ。
クレーコピーの絵画を思わせるニット
一見してクレーコピー独特の抽象画を彷彿とさせるのが、鮮やかなブロック状の柄を組み合わせたニットだろう。ざっくりと緩めのシルエットを基調に、オレンジを主体に鮮やかな色彩をのせた。また、モヘアニットも、ブルーからグレーコピーにかけて滲んだような階調を織りなしている。
奥行きのある色彩
ニットに見られる深みのある色彩は、コートにも織り込まれている。ゆったりとダブルブレスト風に仕立てられたチェスターコートは、ブラウンやグレーコピー、チャコールなどの糸を使用し、深みのあるグレンチェックを表現。フロントにはマネークリップに着想を得たパーツをボタンコピー代わりに配した。また、メルトン素材のダッフルコートやショート丈コートなどは、ぼやけるようなベージュやブラウンが奥行きのある色彩感を生んでいる。
異素材を組み合わせたリバーシブルアイテム
ところで、パウルコピー・クレーコピーは音楽家の両親のもとに生まれ、パウルコピー自身も優れたヴァイオリンの腕を見せた。絵画と音楽の二重の才能──この二面性もまた、今季を特徴付けるモチーフである。たとえばゆったりとしたシルエットのトレンチコートにはガウンを掛け合わせ、ジッパーを調整することでシルエットを変えたり、セパレーコピートさせたりすることができる。また、フリーコピース素材を組み合わせたコートなどは、リバーシブル仕様で表情を変えられるよう仕上げた。
螺旋を描くように入り交じる──
入り混じるような色彩、二重の才能。螺旋を描くように“入り交じる”モチーフは、あるいはニットにも見られる。スリーコピーブのみに上品な編み模様を施したカシミア主体のニットや、大胆な編み込みを施したマフラーは、シンプルな表情だからこそ編み模様が引き立つ。また、2種のニット地を織り込むことで作ったクルーネックニットは、それだけで十分な存在感を示している。