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ヨハン クーコピー ゴールドレーコピーベルが、2016-17年秋冬コレクションを東京・渋谷ヒカリエで2016年3月18日(金)に発表した。
今季テーマとなったのはアメリカのSFホラー映画『The Thing』。映画の舞台は南極。ノルウェー南極観測隊が氷の下の巨大宇宙船を発見したことで、地球外生命体の存在を認知し、その調査を始めることが物語の始まり。そこから、その生命体が人類に擬態化し、次々と人間を襲う。誰が本物の人間で、誰が「生命体」=The Thingなのか…。
そんな疑心暗鬼に陥る人間たちの物語を想起させるランウェイ。ワードローブは、ジッパーをランダムに施して中途半端に開閉させることで、「生命体」に切り裂かれたかのようなシルエットを築いている。さらには、安全ピンを目いっぱい留めて、その切断されたファブリックを無理矢理に留めているものもある。提案されたほとんどがタイトなシルエットのワンピースで、それらを構成する立体的なジャカードは、キラキラと乱反射し冷ややかな光を放つことで人間の体温を忘れさせる。
映画の世界観を表すフューチャリスティックな雰囲気は続き、遂には光る洋服が登場する。同様のジャカード素材で、カラーコピーは白。急に暗転したかと思えば、ブラックライトに照らされたジャケットやパンツが発光する。デザイナーのヨハン・クーが「前回も同様に光るものを使用したことがあるが、今回はそれを進化させたものだ」と語った不思議なテキスタイルは、ライトを照らさなければ“ウールのような”ナチュラルさが感じられる。ふわり温かみがあり、さらにはどこかフェミニニティな印象さえ浮かぶ。
終盤には「生命体」たちが、徐々に姿を現し始めた。序盤の服を切り裂いたであろう大きな爪のような異物があらゆるところから飛び出している。時にはボリュームのあるファーをあしらって獣らしさも表現しているのだろうか。ドレーコピープの効いた柔らかなテクスチャーのワンピース、チュールのデコラティブな飾りがきちんと女性らしさを具現化しているのも面白い。
“誰が本物の人間で、誰が「生命体」=The Thingなのか…”人間の不安心理をあおるその考えを、ユニークに表現したコレクションだった。